2011年12月21日水曜日

だれでも本を読めるということ


ちょっと前だけど、「出版UD研究会」の定例会に出席した。この会は、「本にかかわる仕事をしている人と多様なニーズをもつ読者が、読書のユニバーサルデザイン(UD)について考える」というもの。例えば視聴覚や弱視などさまざまな障害を持つ人、高齢者などが本を読めるようにするにはどうしたらいいかということをで考えていく会だ。

出席者は電子書籍の出版社関連の人、点字図書館関連の人、Webなどのデザイナー、そして視覚障害を持つ人などさまざまだ。

ここのところ、会のテーマになることが多いのが、電子書籍やタブレット、スマートフォン。例えば電子書籍なら、デバイスの読み上げ機能を使えば視覚障害を持つ人でも同じデータで同じように本を楽しめるようになる(まあ、実際は日本語の読み上げは英語などに比べて非常に難しいらしいのだけど)。そんな視点で電子書籍の普及を考えれば、「だれでも読めるようになる」わけだ。
もちろん、今でも点字や朗読といった方法で障害を持つ人でも本を楽しめる。
しかし、今のところそれはボランティアの人に「お願い」して数ヶ月待って点字や朗読にしてもらうという状況(朗読は販売も盛んになってきたけど)。
だれだって、好きな作家の新刊が出たらすぐに読みたい、そう思うはずだ。以前の会で、「実は視覚障害者こそ、本当に電子書籍の普及を待ち望んでいる」ということを聞いた時、ああもっともだなあと感じいった。

今回は、Android端末向けの点字入力アプリ「スマート点字」が紹介された。
スマート点字は、スマートフォンをタップすることで点字が入力され、それを文字として認識して音声として読み上げるというもの(上の写真がデモの様子)。まだまだ「点字をスマートフォンに入力できるようになった」というだけでアプリとも連携しない。でも、いつも自分が使っているスマートフォンにこんな可能性があったのかと、思い知らされたのだった。



作家の村上春樹は盲人マラソンの伴走者ボランティアをするけれど、それに対してこう言っていたのを読んだことがある。

「自分は走ることが好きだから、それができなかったら辛いと思う。だから、それを手伝えることができるならうれしい」 (正確ではないです。こんなようなことということで)

村上春樹と同じように言うのはおこがましいけど、でも私もそんな気持ちがある。
私が本を読むのが大好きだから、好きだけど読めないという人がいたらそれは辛いだろうなあと、単純に思うのだ。だから、自分が得意なことで読めない人の手伝いができたらうれしい。
とはいいつつ、ではどうするか。
まあ、まだまだ勉強が足りないですわ…。



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